テアニンの精神分野での広がり

テアニンはヒトを対象とした検討により、脳波α波を増加させる、ストレスに対する自立神経系の反応を抑えるなどのリラックス効果や睡眠改善作用、等の効果が報告されています。

また、動物実験では、脳血管障害モデルにおける神経細胞死の抑制や、アルツハイマー病の要因となるアミロイドβによる記憶障害や脳の神経細胞の抑制など、脳に対して種々の作用があることが報告されています。(Vuong QV et al:J Sci Food Agric,91:1931-1939,2011)

さらに、近年、統合失調症やうつ病への効果を示唆する知見も散見されるようになりました。

統合失調症患者への効果

動物実験(モデルマウスを用いた検討)により、感覚運動障害があると低下するPPI(プレパルスインヒビション)を改善する働きがあることが確認されました。

ヒトを対象に二重盲検試験において健常者14名に対してテアニン(0mg,200mg,400mg,600mg)を投与し、驚嘆反射を指標としたPPIテストを行い、テアニンが200mg,400mgの単回投与によって、PPIが高まることを見出したことが報告されています。(Ota M et al:Psychiatry Clin Neurosci,68:337-343,2014)

※PPI(プレパルスインヒビション)テストとは

テアニンが統合失調症の場合、感覚障害が原因となって、気が散りやすい、集中力が低下するといった症状がみられる例があります。プレパルスインヒビション(PPI)とは、生理現象の意味で、統合失調症の感覚障害があるかどうかをPPIのテストで調べる場合があります。

 

健常者におけるテアニンのPPI改善効果がみられたことから、統合失調症に対しても有効である可能性が示唆されています。

統合失調症患者に対するテアニン(400mg/日)の抗精神病治療へのアドオン(上乗せ治療)による8週間の二重盲検比較試験がイスラエルの研究グループによって、陽性症状や不安症状に対する有効性が報告されています。(Pham NM et al:Metabolism,63:400-408,2014)

日本でも、国立精神・神経医療研究センターの研究グループにより、17名の統合失調症の17名の患者に対するテアニン(250mg/日)のアドオンによる8週間のオープン試験が行われ、テアニンが陽性症状の軽減させ、睡眠の質を改善する効果があることや脳内のグルタミン+グルタミン酸濃度を調整する働きがあることをする結果が報告されています。(功刀ら、日本生物学的精神医学会誌,27(4),177-181,2016)

うつ病患者に対する効果

大うつ病性障害患者20名で、先行する薬物治療に加えてテアニン(250mg/日)を8週間投与し、投与後4週間後および8週間後に21項目版GRIDハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-21)等で評価しました。

報告では、「オープン臨床試験ではあるが、テアニンの8週間投与により抑うつ症状、不安、睡眠障害および認知機能が有意に改善したころ、大うつ病性障害患者においてテアニンが多様な有効性を持つことが示唆された」とありました。

テアニンは、リラックス効果や睡眠改善効果にとどまらず、統合失調症やうつ病といった精神疾患の治療や予防において有用であることが示唆され、テアニンの精神疾患治療に果たすポテンシャルは高く、治療法の開発研究のさらなる発展が期待されています。

脳に必要な成分への期待

金沢大学名誉教授の米田幸雄先生は、緑茶アミノ酸成分のテアニンを神経幹細胞に添加すると、しない場合に比べてより多くのニューロンが出現することを実験で証明しました。テアニンによって増加した神経幹細胞がニューロンになっていくというのが新たに発見したメカニズムで国内外の様々な学会で報告されています。
テアニンによって増えた神経幹細胞がニューロンを新生していくのには時間がかかるため、ニューロテアニンの効果が感じられるまで半年程度かかるのはこの理由です。

リラックスや睡眠の質の改善には数日から数週間で、統合失調症やうつ病では4週~8週間、そしてニューロンの新生による認知機能の改善には半年程度と、テアニンの効果発現までの期間が異なります。

安全性が高く長く摂りつづけることが可能な緑茶アミノ酸成分であるテアニンは、日常生活の質を維持、改善につながる脳に必要な成分であると言えます。